台湾三軍総合病院小児科教授 王志堅(台湾)
1. 赤ちゃんの最初の一口!離乳食はいつから始めるべき?
母乳は赤ちゃんにとって最も自然で栄養豊富な栄養源です。そのため、生まれたばかりの赤ちゃんには母乳での育児が良いとしています。世界保健機関(WHO)は、衛生環境が整っていない地域における食中毒リスクを考慮し、離乳食の開始時期を生後6か月以降としています。しかし、衛生環境が整った日本では一般的に生後5~6か月の間に離乳食を始めることが推奨されています。
この時期に離乳食を取り入れる目的は、カロリーを補充するだけでなく、亜鉛、銅、鉄、ビタミンなどの栄養素を提供するためでもあります。また、固形食品への適応を少しずつ進めることで、将来的に幼児食へ移行しやすくする準備段階ともいえます。生後4か月から離乳食を始めた赤ちゃんは、1歳になる頃には柔らかいご飯や通常の硬さの白米を食べられるようになるケースが多いです。
2. 成長に必要な栄養を離乳食で満たす
赤ちゃんは生後4か月までは母乳や粉ミルクだけで栄養を十分に補うことができますが、成長に伴い、これらだけでは急速な発育を支えるエネルギーや栄養素が不足してしまいます。また、赤ちゃんの胃の容量は限られており、液体食品が多くを占めるため、徐々に固形食品を取り入れて栄養素を補う必要があります。さらに、離乳食を導入することで栄養を補うだけでなく、さまざまな食べ物に慣れさせる効果もあります。
生後5か月以降に離乳食を始めない場合、1歳で大人と同じ食事に切り替える際に適応しづらくなる可能性があります。中には、ミルクばかり飲んでご飯を食べない状況になり、栄養不足を引き起こすケースもあります。
CuboAiは、赤ちゃんの食事管理をより簡単にするために「ベビーダイアリー&育児記録」アプリをリリースしました。このアプリでは、母乳や粉ミルクの摂取量、離乳食の種類や量を日々記録することができます。明確な記録を通じて、保護者は赤ちゃんの栄養摂取状況を把握し、専門家のアドバイスに基づいて食事を調整できます。これにより、赤ちゃんの各成長段階のニーズを適切に満たし、赤ちゃんの健康的な成長と保護者の安心感をサポートします。
3. 赤ちゃんが離乳食を始められるサイン
赤ちゃんに以下のような様子が見られる場合は、離乳食を始めるタイミングの目安です:
・ 食べ物を受け入れる気持ちができた:赤ちゃんの口に指やスプーンを入れたとき、舌で押し出そうとしない。
・ 食べ物に興味を示す:大人が食事をしている様子を見てよだれを垂らしたり、手を伸ばして食べ物を掴もうとする。
・ 身体の準備ができている:頭や首を安定して支えられるようになり、支えのある椅子に座れる。また、食べ物を見たときに前のめりになったり、口を開けたりする動作が見られる。
4. 離乳食を始める際の注意リスト
・ 新しい食材は一度に一種類のみにする:少量から始め、毎回新しい食材を一種類だけ加えます。3~5日間、下痢、嘔吐、発疹などのアレルギー症状がないことを確認した後、次の食材を試しましょう。
・ 段階的に進める:液状のものからペースト状、ピューレ状、固形食品へと進め、赤ちゃんが食感や咀嚼の仕方に徐々に慣れるようにします。
・ 衛生と安全に配慮:離乳食を準備する際は、手や調理器具を清潔に保ち、食材は必ず加熱して、食中毒を防ぎましょう。
・ 調味料は避ける:塩、砂糖、うま味調味料を加えず、赤ちゃんの腎臓への負担を軽減し、薄味の食習慣を育てます。
・ アレルギー反応の観察:アレルギー症状は、アレルゲンに触れた数分後にすぐ出る場合もあれば、数時間から数日後に現れる場合もあります。主なアレルギー症状は以下の通りです:
◦ くしゃみ、鼻水、鼻づまり
◦ 目の赤み、かゆみ、涙
◦ 咳や呼吸困難
◦ 肌の腫れ、かゆみ、発疹
◦ 胃腸の不調(下痢や便秘など)
赤ちゃんが特定の食材にアレルギーを起こしている可能性がある場合は、その食材の摂取を1~2日間中断し、様子を見て再度試します。それでも症状が現れる場合は、その食材を離乳食リストから除外することをお勧めします。また、保護者が赤ちゃんの食事内容と反応を記録しておくことで、医師がより正確な評価やアドバイスを提供しやすくなります。
保護者がこれらの記録を簡単に管理できるように、CuboAiは「ベビーダイアリー&育児記録」アプリを提供しています。このアプリでは、赤ちゃんの食事内容やアレルギー反応を記録することが可能です。アレルギー食材をチェックしたり、反応の詳細をメモしたり、アレルギー症状の写真を記録することができます。手動で食材情報を入力する必要はなく、写真を撮るだけで簡単に記録できます。医師との相談時に、これらの詳細な情報は赤ちゃんのアレルギー状況をより正確に把握し、適切なアドバイスを受けるために役立ちます。
5. 離乳食の選び方と調理の基本ルール
a. 導入段階:
・ 5~6か月:ペースト状の食材(例:お粥、米粉を溶かしたもの)。
・ 7~8か月:ピューレ状や半固形の食材(例:じゃがいもペースト、野菜ピューレ)。
・ 9~11か月:塊状や固形の食材(例:柔らかいご飯、小さく切った野菜や果物)。
b. 避けるべき食材:
・ はちみつ・黒糖:1歳未満には与えないようにしましょう。ボツリヌス菌の芽胞を摂取する危険性があります。
・ 硬くて丸い食材:ナッツ、キャンディー、ゼリーなど、窒息のリスクがあるものは避けてください。
・ 生もの:刺身などの生ものは食中毒や下痢の恐れがあります。
c. 栄養価の高い食材の選び方:
・ 鉄分を含むもの:米粉、小麦雑穀、赤身肉、卵黄、濃い緑色の野菜など。
・ ビタミンDを含むもの:魚、卵、きのこ類など。
・ ビタミンCを含むもの:果物全般。
d. 深海魚は避ける:サメやカジキなど、メチル水銀濃度が高い可能性のある魚は、赤ちゃんの神経発達に悪影響を与える恐れがあります。
e. 毎日与える必要はない:離乳食の初期段階では、毎日与える必要はありません。赤ちゃんの成長に合わせて、少しずつ頻度や量を増やしていきましょう。
6. 離乳食の新しい冒険、ママパパと一緒に探検しよう!
a. 好き嫌いの問題:新しい食べ物を何度も試すことが重要です。赤ちゃんが受け入れるまでに、10回以上かかることもあります。嫌いな食べ物は、好きな食べ物と混ぜて与えましょう。ママやパパが先に食べて見せることで、赤ちゃんも試してみたくなるかもしれません。
b. 食べさせ方:最初は母乳やミルクを使って食べ物を柔らかくし、飲み込みやすくしてあげましょう。食材は柔らかく煮て、種や骨を取り除き、小さく切ってあげます。残った食べ物は24時間以内に冷蔵保存し、食べきれなかった場合は捨てましょう。
離乳食は赤ちゃんの成長において大切なステップです。フリーズドライのおかゆなど、時短食品も取り入れながらママやパパが笑顔で、赤ちゃんが食事を楽しめるように接することで、赤ちゃんは健康的な食習慣を身につけることができ、今後の成長に良い影響を与えるでしょう!
王志堅(Chih-Chien Wang)医師のバックグラウンド情報:
現職
三軍総合病院小児科特任教授
国防医科大学医学部小児学科教授
学位
国防医科大学医学博士
専門領域
感染症、重症医学の専門家
経歴
国防医科大学医学博士
台湾小児科専門医
台湾感染症専門医
台湾小児救急専門医