【小児科医が解説】乳児の熱中症を防ぐには?見落としがちな「夜間のリスク」と安心できる睡眠環境づくり
大人に比べて体温調節機能が未発達な乳児は、熱中症のリスクが高く、自ら「暑い」「のどが渇いた」と言葉で伝えることもできません。そのため、周囲の大人が正しい知識を持って、環境を整えて未然に防いであげることが不可欠です。
熱中症のリスクは日中のお出かけ時だけでなく、見落とされがちな「夜間の室内(睡眠中)」にも潜んでいます。
年々厳しさを増す日本の夏。初めての夏を迎えるママやパパは、赤ちゃんの熱中症対策に対して心配が尽きないのではないでしょうか。今回は、小児科医の森戸やすみ先生へのインタビューをもとに、乳児が熱中症になりやすい理由や初期症状の見極め方、受診の判断基準、そして親御さんが無理なく安全を確保できる「夜間の睡眠環境づくり」について詳しく伺いました。
1. 乳児が熱中症になりやすい「3つの理由」
「乳児は大人に比べて、体温調節機能が未発達です」と森戸先生は指摘します。私たち大人は、暑さを感じれば自然と汗をかいて体温を下げたり、自発的に衣服を脱ぎ着して調整したり、こまめに水分補給を行ったりすることができます。しかし、乳児は自らこうした体温調節や行動ができません。乳児が大人以上に熱中症のリスクが高いのには、次の3つの理由があります。
- 周囲の温度の影響を受けやすい:乳児は体重あたりの体表面積が大きいため、周囲の温度の影響を受けやすいという特徴があります。大人にとっては「少し暑いな」と感じるようなわずかな温度変化でも、乳児の体内温度は大きく変化します。ベビーカーに乗っているときなど、地表からの照り返しによる高温にさらされやすいのも、乳児ならではの大きな要因の一つです。
- 「暑さ」を回避する行動が自分でできない:大人は「暑くて汗をかいたから、水分補給をしよう」と自分で行動できますが、乳児は自分で服を脱いだり、エアコンの温度を調節したり、こまめに水分を摂ったりすることができません。そのため、大人が気づかないうちに脱水症状を起こしたり、体調が急変したりすることがあります。
- 「暑い」「のどが渇いた」と言葉で伝えられない:不快感や体の異変を感じても、乳児はそれを言葉にして周囲に上手く伝えることができません。だからこそ、大人が日頃から注意深く観察して、いつもと違う異変にいち早く気づいてあげる必要があります。
2. 熱中症の初期症状とは?見るべきポイントは「いつもと違う」様子
自分で体温調整をしたり言葉で訴えることのできない乳児の熱中症を見極めるには、熱中症の初期症状を知り、日頃から「いつもと違う」様子にいち早く気づくことが何より大切です。乳児の熱中症の初期症状として、以下のポイントを意識して観察してみましょう

- 皮膚の様子:顔が赤くほてっている、体に触れるといつもより熱い
- 汗の出方:汗をびっしょりかいている(※汗をかいていなくても安全とは言えません)
- 排尿の頻度:おしっこの回数がいつもより少ない、またはおしっこの色が濃い
- 機嫌や動き:機嫌が悪くぐずぐずしている、または元気がなくぐったりしている
- 飲食の様子:母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べたがらない
・「汗をかいていない=大丈夫」は禁物!
森戸先生によると、「特に汗っかきでもないし、機嫌も良さそうだから大丈夫」と安心してしまうのは禁物だそうです。機嫌が良く見えても体の水分は確実に失われており、乳幼児の熱中症は急激に進行することがあります。
また、「あまり汗をかかない」のは体温調節機能がまだ未熟なため、あるいはすでに熱中症が進行して汗をかけなくなっている危険なサイン(脱水状態)の可能性もあります。見た目の機嫌や汗の量だけに惑わされず、部屋の環境を整えることと、こまめな水分補給はセットで心がけてあげてくださいね。
3. どのような症状が出たら病院に行くべき?受診と救急の判断基準
「もしかして熱中症かも……」と不安になったとき、受診すべきか、それとも救急車を呼ぶべきか迷う親御さんは少なくありません。実際にどのような症状が出たら行動を起こすべきなのか、森戸先生に具体的な目安を教えていただきました。

・すぐに「小児科を受診」する目安(脱水や熱中症の疑い)
以下のような症状が見られる場合は、熱中症が進行しつつある可能性があります。速やかに小児科を受診してください。
- 呼びかけに対する反応が、いつもより明らかに鈍い
- 汗をたくさんかいているのに、母乳・ミルクや水分を摂りたがらない
- おしっこが半日(約6時間)以上出ていない
・ためらわずに「救急車を呼ぶ」目安(一刻を争う危険な状態)
以下のような症状がある場合は、重篤な熱中症(熱射病)の危険性があります。迷わず119番通報をして救急車を呼んでください。
- 嘔吐:繰り返し吐いてしまい、水分が全く受け付けられない
- 意識の低下:意識が低下していて呼んでも目が合わない
- けいれん:体がいつもと違う動きをしていてけいれんを起こしている
- 脱力:ぐったりとして自力で動けない
4. 見落とされがちな「夜間・就寝中」の乳児熱中症リスク
日中のお出かけ時の熱中症対策は意識していても、夜、寝ているときのリスクは意外と盲点になりがちです。「夜間でも、寝ている時でも熱中症のリスクはあります。」と森戸先生は指摘します。
近年は夜になっても気温が下がらない「熱帯夜」が多くなっています。エアコンを使用せずに窓を閉め切って眠ると、室温や湿度は気付かないうちに急上昇してしまいます。乳児は大人以上に体温調節が苦手なうえに、睡眠中にもたくさんの汗をかきます。親御さんが眠っている間に熱中症を引き起こしてしまうケースもあるため、夜間の環境づくりには特に注意が必要です。
では、寝ている間、親御さんは具体的にどんなことに気をつければいいのでしょうか。森戸先生がおすすめする対策は、大きく3つあります。

・エアコンは「設定温度を高めにして朝までつけっぱなし」が正解
寝室の温度設定は「暑くない環境づくりが最優先です」と森戸先生。エアコンを活用する際、快適な室温の目安は下記の通りです。
| 夏の夜の快適な環境の目安 | 数値 |
|---|---|
| 室温 | 26〜28℃ |
| 湿度 | 50〜60% |
「昔は『エアコンをつけっぱなしで寝ることはよくない』と言われていました」と森戸先生は振り返ります。「子どもは眠っているものの、私自身が暑さで目覚めてしまうことがありましたね。近年は夏の暑さが以前とは違います。現在は熱中症予防のため、無理にエアコンを切るよりも、適温で朝まで運転することをおすすめしています」と森戸先生はアドバイスします。夜間の熱中症予防には、エアコンを一晩中稼働させて快適な温度を保つことが効果的です。
また、温度計の数字(設定温度や湿度)はあくまで目安だとも先生は付け加えます。「数字だけでなく実際の乳児の様子を見て調節しましょう。設定温度よりも乳児の顔が赤い、汗をかいている、手足だけでなく体幹が熱いというほうが大事です。」とのことです。これらを目安にして、乳児に最適な室温管理をしましょう。
・「寝冷え」を心配するあまりの着せすぎに注意
森戸先生によると、「お腹を冷やさないように」と寒くなってしまうことを心配する方が多いそうです。ついパジャマを厚着させたり、布団をしっかりかけたりしてしまいがちですが、これも見直したいポイントです。
「確かに汗をびっしょりかいた後に冷えてしまうことは心配ですが、(衣服を)着せるよりも寝る前に汗をかいていたら拭いてあげましょう。」とのこと。また、汗をかきやすい夏場は特にパジャマや寝具には、通気性や吸湿性の高い「綿100%」などの素材を選んであげるのがベストです。
・夜間の水分補給、基本は「母乳やミルク」
夜中に乳児が起きたとき、水分補給のために何を飲ませるべきか迷う方も多いかもしれません。水や麦茶、熱中症対策用のスポーツ飲料を準備しておいた方がいいのでしょうか。
「夜間の水分補給は、寝る前や、夜中に泣いて起きたタイミングで『母乳やミルク』をあげるのが基本です」と森戸先生は話します。
「離乳食が始まっている月齢であれば、お茶やお水を少量飲ませてもかまいませんが、水分補給の基本は母乳やミルクです。」イオン水やスポーツ飲料は、脱水症状の治療など特別な指示がない限り、日常の水分補給として与える必要はありません。
5. 医師がアドバイスする、熱中症に「気づく仕組み」の作り方
夜間の熱中症対策が大切だとはわかっていても、寝ている乳児の様子を親御さんが一晩中見守り続けるのは簡単ではありません。森戸先生に、夜間にどのように乳児の様子を確認するべきか、保護者の方々へどのようにアドバイスしているのか、お話を伺いました。
・親が倒れないために「気づく仕組み」を頼ろう
「汗をかいていないか、暑くなっていないか、不安で夜中に何度も目が覚めてしまう」という親御さんも多いのではないでしょうか。「毎時間起きて確認するのは、親御さんが睡眠不足になってしまい体力が削られます」と森戸先生は指摘します。それが毎日続くことは現実的ではないからこそ、親御さんもお子さんも無理なく安全を確保できる「気づく仕組み」を持つことが大事なのだそうです。
例えば、エアコンを朝まで適温でつけっぱなしにすること自体が、実は最大の予防の仕組みになります。さらに工夫をするなら、枕元にデジタル温湿度計を置いて、アラーム機能などで室温の上昇を知らせるようにするのも手です。
そこで心強い味方になるのが、乳児の体動や周囲の環境をモニタリングしてスマホに通知してくれる「CuboAi スマートベビーモニター」です。24時間赤ちゃんの様子が気になるママ・パパの代わりに、安心を見守るために生まれました。
「こうした便利なグッズや仕組みに頼ることは、決して手抜きではありません。親の心の余裕と乳児の安全を両立させるための、賢い選択だと思います」と森戸先生。現代のテクノロジーやお助けグッズを上手に活用することで、親御さんも体を休めながら、安心して夏の夜を過ごしましょう。
6. 乳児と親御さんが「安心して眠れる」環境づくり
乳児の熱中症は、大人が正しい知識を持ち、あらかじめ環境を整えてあげることで、その多くを防ぐことができる病気です。
初めての夏、愛する我が子のために「私が寝ずにしっかり見守らなきゃ」と一人で抱え込んでしまう親御さんは少なくありません。しかし、森戸先生がおっしゃるように無理は禁物です。エアコンを上手に使い、時には乳児の様子や室温の変化を教えてくれる「見守りテクノロジー」にしっかりと頼りながら、少し肩の力を抜いてみませんか。
親御さん自身が夜に十分な睡眠を取り、健康を保つことも、乳児の安全を守る上で欠かせない大切な要素です。家族みんなが毎日を元気に、笑顔で過ごせることが、乳児にとって一番の安心につながります。
そんな親の心の余裕と乳児の安全を両立させるために、CuboAiは頼もしいパートナーとして寄り添います。CuboAiなら、乳児の様子を離れた場所から確認できるだけでなく、精度の高い温度・湿度センサーによって、熱中症対策に欠かせない寝室の環境をいつでもリアルタイムで把握することができます。

さらに、寝ている間の異変にもすぐに気づける工夫が施されています。就寝中や、家事をしている時間や別の部屋で過ごしているときでも、寝返り検知や顔覆われアラート機能が、寝ている間の寝返りや寝具の様子といった赤ちゃんの状態をしっかり確認して知らせてくれます。
「暑くなっていないかな」「様子は大丈夫かな」という日々の不安を軽減し、親子の安全な睡眠を優しくサポートしてくれるテクノロジーを上手に取り入れて、この夏をみんなで安心して、健やかに乗り切っていきましょう。
【乳児の熱中症対策】Q&A
乳児の熱中症対策について、ママパパが特に迷いやすいポイントを森戸先生に伺いました。ぜひ参考にしてみてください。
Q1. 冷えすぎが心配でエアコンのタイマーを切ったり、パジャマを厚着させたりしがちなのですが、本当に朝までつけっぱなしで大丈夫でしょうか?
森戸先生:冷えすぎを心配するよりも、設定温度を高めにして朝までエアコンをつけっぱなしにすることをおすすめします。
「お腹を冷やさないようにと、寒くなることを心配される方は多いですね。ですが、タイマーが切れた後に眠っている間に室温が上がってしまう方が危険です。冷えすぎを心配するよりも、設定温度を高めにして朝までエアコンをつけっぱなしにすることをおすすめします。
パジャマを厚着させたり布団をしっかりかけたりすることも、熱中症リスクを高めてしまうので見直したいポイントです。汗をびっしょりかいた後に冷えてしまうことを心配する気持ちは分かりますが、着せるよりも、寝る前に汗をかいていたら拭いてあげるようにしましょう。パジャマや寝具には、通気性や吸湿性の高い綿100%などの素材を選んであげるのがベストです。
温度設定は室温26〜28℃、湿度50〜60%を目安に調整しますが、数字だけでなく赤ちゃんの様子をよく見て調節してくださいね。設定温度よりも乳児の顔が赤い、汗をかいている、手足だけでなく体感(お腹や背中など)が熱いという様子の方を大事にして温度調整をしましょう」
Q2. 特にたくさん汗をかいている様子もなく、いつも通り機嫌が良さそうに見えるときでも、熱中症を疑って注意した方がいいのでしょうか?
森戸先生:結論から言うと、それでも注意が必要です。
「結論から言うと、それでも注意が必要です。乳児は自分で『暑い』『のどが渇いた』と言葉で伝えることができません。一見機嫌が良さそうに見えても、体の水分は確実に失われており、乳幼児の熱中症は急激に症状が進行することがあります。
また、『あまり汗をかかないから大丈夫』と安心してしまうのも禁物です。それは赤ちゃんの大人のように汗をかく機能が未発達なためかもしれませんし、あるいはすでに熱中症が進行して汗をかけなくなっている、危険な脱水状態のサインの可能性もあります。
見た目の機嫌や汗の量だけに惑わされないよう、注意深く様子を見てあげてください。部屋の環境を整えることと、こまめな水分補給は常にセットで心がけてあげましょう」
Q3. 夜中に泣いて起きたときは、熱中症対策用のスポーツ飲料などを飲ませた方がいいですか?
森戸先生:夜中に泣いて起きたタイミングの水分補給は、母乳やミルクをあげるのが基本です。
「夜中に泣いて起きたタイミングの水分補給は、母乳やミルクをあげるのが基本です。
離乳食が始まっているくらいの月齢であれば、お茶やお水を少量飲ませてもかまいませんが、水分補給の基本はやはり母乳やミルクになります。
イオン水やスポーツ飲料については、脱水症状の治療など、お医者さんからの特別な指示がない限りは日常の水分補給として与える必要はありません。寝る前や夜中に起きたときは、母乳やミルクを飲ませてあげてくださいね」
1971年、東京生まれ、小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都台東区でどうかん山こどもクリニックに勤務。専門的な学術書を読む医療者と気軽な本や記事を読む保護者、非医療者の間を取り持つような活動をしたいと思っている。『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』など著書、書籍や絵本の監修多数。
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